ブルターニュ地方、ゲランド(Guerande)では9世紀から続く、天日と風、粘土の地層を使った伝統的な手法で塩を生産しています。パルディエ(Paludier)と呼ばれる塩職人が機械を使わずに手作業で収穫します。添加物も一切使わず自然なまま、マグネシウム等のミネラルが豊富なまろやかな味わいの塩ができます。あたりは良質の天日塩ができる湿地帯として知られています。
今日ではフランスだけでなく世界の名シェフたちから「海の果実」と呼ばれ高く評価されています。EUの地理的表示保護 PGI(Protected Geographical Indication)にも認定されています。ゲランドの塩が、特定の品質、特定の地域に根付くと評価され、ブランドとして認定されています。
1000年の歴史
田んぼのようにあたり一面(約1,800ヘクタール)に塩田が広がっていました。1000年も前に修道士たちが海水を太陽と風で蒸発させて作った方法が、機械化の波に飲まれることなく、今もそのままの伝統的方法で生産しています。16~18世紀に肉や魚を塩漬けで保存していたため、ヨーロッパでの需要と消費が伸び、ゲランドの塩田も発展を遂げてきました。
ところが19世紀には戦争の影響、20世紀には工業的な大規模製塩業の台頭により、塩職人も減り徐々に衰退していきました。
1960年代に塩田周囲のリゾート開発計画を機にゲランド塩田の価値が再認識され、再興運動が活発化し、塩田周辺の生態系の豊かさも認識され環境保護の観点からも重要視されました。1987年共同の貯蔵倉庫建設、生産者の組合の再編成、組合直営の販売会社の設立などで事業として持続できる体制を整えました。
製塩方法
天気が良く日照時間の長い夏季(6~9月)に大西洋の潮の干満を利用して塩田に引き入れた海水を、数センチの高低差をつけた塩田でゆっくり巡回させながら太陽と風の力で水分を蒸発させて塩を作ります。年間平均1万トンの塩が生産されています。
1.引き込み
天候を見極めながら月に2度の大潮時に海水を運河に引き入れ、水門を開き、海から潮の満ち引きを利用して、主水路を通して、海水を水門から、貯水池に引き込みます。
2.濃縮(1段階目)
貯水池の海水を、水分を蒸発させるための濃縮池に引き込みます。
3.濃縮(2段階目)
重力を利用し迷路のような水路を通して、2つ目の濃縮池に海水を引き込み、行く間にさらに水分を蒸発させます。沈澱した泥を周囲の溝に集め、仕切りのスレード板の栓を抜き、次の塩田に海水を送ります。
4.収穫
濃縮した海水を、2種類目の貯水池を経て、最終結晶池(ウイエ)に集め、塩を収穫します。
画像はガイドの二コラさんが塩田の底に沈んだグレーソルトを集める器具「ラス」を使ってデモンストレーションしてくれました。この5mの長い器具をしならせながら底をえぐらないように静かに波を立てながら沈殿する塩を押し出し集めていきます。
5.ストック
収穫した塩を「ウイエ」の一辺に半円形に突き出た塩堆場に山積みにして、塩の山を作り、一晩水切りをしてから集積場に運び更に乾燥します。

ゲランドの塩田

ゲランドの貯水池の水鳥
3種類のゲランドの塩
1.塩の花 フルール ド セル(fleur de sel)海水が蒸発して塩になるとき、最初に表面に浮き上がってきた薄い膜状の塩の結晶を「花びらを摘むように」手作業で収穫する希少な塩、海の果実とも、余韻にほんのりとした甘みを感じます。一流シェフたちに愛用されています。料理の最後の仕上げに
2.あら塩 グロ セル (gros sel) ミネラル豊富なグレーソルト 海水のミネラル分(ミネラルの宝庫微量の粘土が)混ざりっているので灰色、しっとりと水分を含み、固まりやすいが自然のままの味わいです。複雑でまろやか、旨みや力強さも感じさせます。粒が大きいためにお湯の中でゆっくりと溶け、茹でている素材にもゆっくり塩分が染み込みます。パスタのゆで塩、煮込み料理・お吸物、漬物などの調味用として、味のベースに使用します。
3.顆粒 セル ファン(Sel fin) 細かい塩 あら塩を独自の製法で顆粒状の細かく砕いてサラサラにしたもの、パン作り、魚や肉の塩焼きなどに
一般的な精製塩は工業的製法で作られており塩化ナトリウムが99%以上に生成した塩です。加工の過程でマグネシウムやカルシウム、カリウムはほぼ除去されます。「塩分」だけが際立つように作られています。一方でゲランドの塩は、塩化ナトリウムの含有量が少なく、その分マグネシウムやカルシウム、カリウムなどを含んでいます。そのため、ただしょっぱいだけでなく、ほのかな苦みや甘みを感じさせ、深い味わいを楽しめ、素材のおいしさを邪魔せずに、より引き立ててくれます。

Terre de Sel, ガイド手配、歴史の展示、お土産屋

ゲランドの町の塩屋さん
まとめ
お料理好きな人には一度は行ってみたいところでした。いつも料理で愛用しています。
フランス土産として最適なゲランドの塩、実はとても奥深く、長い歴史があることを学びました。料理に奥行を与え、素材のうま味を引き出すこのお塩は美味しいフランス料理には欠かせません。
もちろん和食にも。築地のお寿司屋さんも愛用していました。











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