メドック地区、ボルドーの有名な高級赤ワインが集まる中心地区

medoc-メドック地区

ボルドーの中でも特に高級赤ワインが集中しているメドック地区について。

世界的に高い評価でEU以外への輸出量が多い

メドック地区はボルドーのぶどう畑の15%と面積は狭いものの、ボルドー赤ワインの輸出金額の40%を占めます。ボルドーの中でもメドック地区は世界的に高い評価の高級ワインの産地として有名です。メドック地区の輸出量は60%がEU外と、世界中で愛されています。

北緯45度の半島のようなワイン産地

ジロンド河は対岸が見えないほど、海のように大きく、昔から大きな船が行き来しました。そのため左岸のメドック地区は水に囲まれた、まるで「半島のようなワイン産地」です。17世紀半ばに湿地帯だったメドック地区をオランダ出身のぶどう栽培者が住み着き、干拓しぶどう栽培がされるようになりました。1855年のパリ万博の格付けの頃にはすでにフランスを代表するワイン産地となったことを考えるとわずか100年余りで確固たる名声を築いたことになります。

赤道と北極の中間地点とされる北緯45度に位置しており、暑さ、湿気、日照、風通しなどぶどう畑に適したバランスが良い温暖な海洋性気候です。大西洋に流れる暖流の影響で冬が暖かいのが大きな特徴です。また半島のように水に囲まれているため適度な湿気があります。

テロワール, 3つの異なるメドックの土壌

 

西側はピレネー山脈の砂利:最も古い土壌で、山から流れ出る川により運ばれた
河口沿いはガロンヌ河の砂利:ガロンヌ河とドルドーニュ河の増水により形成された
2つの間は粘土石灰質:石と粘土質の硬い土壌との混合

地図を見るとわかるように、河に近い方が高級ワインの産地になっています。ジロンド河の岸に積もった砂利の上にぶどう畑があります。

河が暖かい気温を保ち、霜が降りずらくなります。逆に内陸側は霜が降りやすい特徴があります。降雨量は多いですが砂利のため水はけがよいのが特徴です。河に近い方が砂利が多く、水はけがよくなります。また、河の上流は比較的大きな砂利のためカベルネソーヴィニヨン種に適し、下流になるほど細かな砂利になります。内陸は粘土石灰質になりメルロー種に適しています。

河を中心に広がっている地区のため、メドック地区で一番高いところで標高44mと平坦な土地が多いのが特徴です。

4種のぶどう品種とアサンブラージュ

メドック地区では4つのぶどう品種が補完し合い、ボルドー独特のアッサンブラージュ(ブレンド)のワインを生産します。メドックのワインの繊細さと威信は、それぞれの生産者が行う特別なアッサンブラージュにより生まれます。アッサンブラージュがそれぞれのワインにテロワール、生産者、地域の独自の個性を与えるのです。またワインの生産量も非常に多いためアッサンブラージュにより品質の均一化を図ります。

カベルネソーヴィニヨン:メドック地区で第一位の品種、メドックの作付け品種の約半分を占めます。生命力旺盛な品種。メルローより晩熟(8-10日遅い)。砂利質の土壌に合う。ワインにストラクチャーと果実味、熟成能力をもたらします。

メルロー:メドック地区では2番目に復旧している品種、最も早熟。粘土石灰質の土壌に合う。なめらかでアルコールがしっかりとしている。ワインにまろやかさをもたらします。

カベルネフラン:最初の2種に比べると作付け率はかなり少ない。晩熟の品種。粘土石灰質の土壌に合う。ワインに豊かな香りをもたらします。

プティヴェルド:メドックで使われる量は少ないですが、近年比率が多くなってきています。ワインに鮮明な特徴を与える。なかなか完熟してくれない晩熟の品種。砂利質の土壌に合う。ワインにボディと色を与えます。

 

8つの赤ワインAOC

2つの地域名アペラシオン

メドック Medoc : 面積の34%、すべての土壌がある。ボディがある、色がしっかりとしていて、熟成できる、若くても楽しめる繊細さと香りの良さ、ぶどうの品種はメルローがやや主流

オーメドック
Haut-Medoc : 面積の27%、メドックのAOCの中で長さ60Kmと最も広く伸びた土地、他の村名AOCとも隣接している。ワインは力強さが目立つことなく、豊かでしっかりとしている。年を経るにつれて心地よいブーケが現れる。カベルネソーヴィニヨン主体。

6つの村名アペラシオン

サン テステフ St-Estephe :  面積の8%。メドック北部のコミューン名AOC。砂利、粘土、砂質と多様な地層が良い排水を保証する。ワインはとてもアロマが豊かで、繊細でまろやか。ポイヤックの隣のAOCで、ボディがしっかりとしており、熟成に向いている。

ポイヤック Pauillac : 面積の7%。18軒の格付けシャトーがあり、生産量の85%を占める。砂利質の見事な丘陵地。自然の排水性とてもよく、痩せた砂利質の土壌が素晴らしく豊かなワインを生み出す。カベルネソーヴィニヨンの自然発祥の地で3/2と大半を占める。ワインはとてもまろやかで、香りは繊細、品がよく、他とは明らかに異なる。

サン ジュリアン St-Julien : 面積の6%。11軒の格付けシャトーが集まり、生産量の87%を占める。メドックの中心に位置。カベルネソーヴィニヨン主体。わずか19軒と生産者が少ない。ワインはボディがありとても豊か。香りは味わい深く繊細。

ムーリー
Moulis : 面積の4%、メドックの中で最も小さいAOC面積、西側内陸に位置し、メルローが主体、土壌の大半はピレネーの砂利質で下土は粘土石灰質で比較的冷たい土壌。肉付きがしっかりとしていて、とても繊細なワイン

リストラック
Listrac : 面積の5%、62%がメルロー。砂利質に囲まれた石灰質の地層。地理的にもムーリーに近い。一番標高の高い44m「メドックの屋根」がある。ルビーのきれいな色で、作りがしっかりとしており、肉付きもあり、まろやかなワイン

マルゴー
Margaux : 面積の9%、村名のAOCの中では最大の面積。村名のAOCの中では最も南に位置し、ボルドー市に約20Kmと最も近い。河沿いのガロンヌ河の砂利質。最も格付けシャトーが多く(21シャトー)、そのうちの一つが「マルゴー」の名前が付いた有名なシャトー。とても豊かでしっかりとしたワイン。甘美な香りがあり、繊細。

 

5つのクリュ

グランクリュ クラッセ : 60のクリュ。品質指標の先駆者的、伝統の番人的存在。品質の永続性を元に設定された。メドックワインの歴史を伝える大使的な役割。1855年にナポレオン三世の命により制定され、1世紀以上に渡って今日まで続く公式の格付け。生産量の80%は輸出されている。

クリュ ブルジョワ : 270のクリュ。ボルドーの仲買人「クルティエ」により1932年に設定。2008年新しい格付け方法のガイドラインを作成し現代性と活力を兼ね備えたクリュブルジョワの精神を引き継ぐ。2018年に再度格付けの見直しがあった。

クリュ アルティザン :33のクリュ。 小規模生産者。この名称は150年以上前から存在する。仕事への愛情が強く、職人気質のワイン造りを評価。メドックの7つのAOCに存在する。

協同組合 :6つの協同組合、350軒のぶどう栽培農家が参加。今日メドックワインの生産量の12%に相当する。多くのぶどう畑所有者が自社畑のぶどうからワインを生産・販売している。メドックの5つのAOCに存在する。

その他のクリュ、ネゴシアンワイン : 格付けには含まれていないが名声を博するワインが存在する。すべてのメドック地区のAOCが存在する。

 

まとめ

メドック地区のワインをテイステイングする機会に恵まれ、8つのAOCをそれぞれ2016年とそれ以前の2つのヴィンテージ違いで味わいました。どのワインも品質が安定しているという印象です。ブルゴーニュのように作り手により同じ村でも全く異なる味ではなく、高い品質で非常に安定して造っていると感心しました。生産規模が多く世界中の需要を満たすために、リスクを避けて安定供給しているのがよくわかりました。大切なワイン産業を今後も維持するために、有機栽培にも積極的に取り組んでいます。メドック委員会の方は「サステナビリティ」という単語を何度か単語繰り返していました。

長期熟成型なのでどれも古いヴィンテージの方がまろやかでおいしいと感じたのですが、ポイヤックのシャトー グラン ピュイ ラコスト セカンドラベルだけは2016年ヴィンテージの方がおいしいと感じました。メドックワイン委員会の方に聞いたところ、セカンドワインなのでぶどうの樹齢が若く元気で力強いからとおっしゃっていました。

 

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