ブルゴーニュワインは美味しいけど、高いですねとよく言われます。「なぜ高いのか」と他のワイン産地との違いについて
生産量が少ない
そもそもぶどう畑の面積が他のワイン有名産地に比べて小さく、更に最北に位置しているため、大量のぶどうの収穫は望めません。
生産量は年間約28万キロ、ボルドー地方の半分ほどで、そのうちの50%はブルゴーニュの南端にあるボジョレー地区で、大量生産されているカジュアルな赤ワインです。残りの50%が銘醸白ワインと銘醸赤ワインとなり、非常に希少価値が高いのです。ボジョレー地区を除くと、フランスで生産されているワインのたった3%だけがブルゴーニュワインとなります。白ワインを安定して大量に生産しているシャブリ地区やマコネ地区を除くと、人気のコート・ドールの生産量は更にかなり少ないことになります。ちなみに格付けごとの生産量です。半分以上は地域名クラスとなります。
グランクリュ 1%
プルミエクリュ 10%
村名クラス 37%
地域名クラス 57%
限られたクリマに、質に重きを置いてワインを生産している
2015年に「ブルゴーニュのぶどう畑のクリマ」がユネスコの世界遺産に登録されました。2000年もの歴史の中でぶどう畑が細分化され。それぞれに日当たり、風、土壌などの条件が異なり、異なる味わいのワインを醸造しています。その質にこだわり、たとえ近くに空き地があっても、条件がそろわない土地にぶどうの樹を植えることはなく、今後もぶどう畑の面積が増えることはなく、したがって生産量も増えません。一方でブルゴーニュワインの人気は年々高まるばかりで、需要が高まっています。近年の中国人のブルゴーニュワイン人気がそれに拍車をかけています。
また歴史の中で、ガメイ種を抜いてより上質なピノ・ノワール種のみに絞り込み、そのアイデンティティを確立してきました。19世紀に発生した害虫による災害を経て、最上の土地だけにぶどうの樹を秩序立てて植え替えられ、それによってワインの質が飛躍的に向上し、テーブルワインの生産は終わりました。歴史の中であえて質の高いワイン生産へシフトしていったのです。
現在のブルゴーニュワインは長い歴史の中で、しっかりと他のワイン産地とは異なるアイデンティティを作り上げてきました。ブルゴーニュワインは世界的に有名ですが、フランスのワイン生産量では3番目、仏全体の3%と生産量が少ないのが特徴です。面積も少なく生産量も少ないにもかかわらずAOCの数はフランス全体の1/4を占めています。
ブルゴーニュにはぶどう畑に近いところでも、質の高いワインが作れないところには、ぶどうは植えないということが徹底されています。シャブリには麦畑がたくさんありました。
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出来栄えはその年の気候に左右され、ぶどうは単一品種
複数のぶどう種をブレンドするボルドー地区とは異なり、単一品種、ほとんどが赤はピノ・ノワール、白はシャルドネのみで醸造されるため生産量はその年の気候に大きく左右されます。気候条件が悪い年は当然収穫量が減ります。何年か前に気候の影響で収穫量が続けて減少し、価格が高騰したことがありました。
また、ピノ・ノアール種は冷涼な気候に向いてると言われますが、非常に繊細で、病気にも弱く、育てるのは難しいとされています。ワインの産地としては最北に位置しており、厳しい気象条件にあることも生産量に影響しています。同じ赤ワインでもメルローやカベルネソーヴィニヨン種と比べると弱く繊細な品種として有名です。
その歴史から小さな作り手が多く、ボルドーなどに比べ工業化があまり進んでいないことも価格に影響しています。いまだにほとんどがぶどうを手摘み、天然酵母の実を使用しています。まさに職人気質が残る世界です。
ブルゴーニュワインはいかに希少価値が高いか、ご理解いただけたと思います
まとめ
ワイン愛好家のほとんどが最後にはブルゴーニュワインのファンになると言われています。一度ファンになったら、離れられない魅力に取りつかれます。
ブルゴーニュワインはテーブルワインはあまり作っていないというのが他のワイン生産地とは異なるところです。ボルドーは高級ワインばかり話題になりますが、ほんの一握りでテーブルワインもたくさん生産しています。
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