日本でも馴染みのある、世界第5位のワイン生産量を誇るオーストラリアのワインについて。伝統にとらわれないワイン産地であり、斬新なワイン造りが魅力です。
オーストラリアの気候
世界で6番目に広い、広大な国土を持つオーストラリア。 北部は砂漠地帯のため、より冷涼な南東部にワイン産地が広がっています。最初はポート酒などの酒精強化ワインでしたが、この40年位でスティルワインが普及しました。ドイツ系やイタリア系の移民文化に支えられ、それぞれの故郷のワインを思わせるものが多く、固有種は存在しなく、ヨーロッパから持ち込まれた多種多様な品種のワインが造られています。輸出はイギリスをはじめ全体の6割。収穫は南半球の秋にあたる3月~4月になります。
全般的に温暖で乾燥した気候ですが、大陸の南東部と南西部は地中海性気候となり、標高の高さと海との近さによる冷涼な気候を利用してぶどうを栽培しています。
最初にスクリューキャップを導入したのはオーストラリアです。BOY(レストランへのワインの持ち込み)という仕組みが日常的に生まれたのもオーストラリアです。また、アデレードには国立ワインセンターや国立ワイン醸造、ぶどうセンターがあり、世界を代表するワイン研究機関、教育機関があります。
オーストラリアのぶどう品種
代表的なぶどう種はシラーズです。(Shiraz フランスではシラーと呼ばれています)色濃く、濃縮感のある果実味に溢れ、黒コショウなどのスパイシーさがある成分「ロタンドン」が含まれています。ロタンドンは冷涼な地方で栽培されたシラーの方が多く含まれるため、温暖なオーストラリアのシラーズはスパイシーさが強調されずやや穏やかな味わいになります。
フランスのローヌと比べると全体的にアルコールが豊かでまろやかな風味になります。またアメリカンオーク樽を使用するため、ココナッツミルクやチョコレートのような香りや風味があります。
白ブドウはシャルドネが代表的です。オーストラリアのシャルドネはフレッシュでありながらもトロピカルフルーツ系の味わいを持つ濃厚なタイプが多く、樽もバランスも良く、非常に上品な仕上がりです。
その他黒ぶどうはカベルネソーヴィニヨン、白ぶどうはリースリングが生産されています。
オーストラリアワインの格付け
オーストラリアワインは3つのスタイルがあります
ジェネリックワイン : ヨーロッパの特定産地のワインのタイプ名をつけたもの。(バーガンディ、クラレット、モーゼルなど)
ヴァラエタルワイン : 産地、品種、収穫年表示はすべて85%以上
ヴァラエタル ブレンドワイン : ぶどう品種をブレンドして造られたワイン。ブレンドした品種が多いものから順にラベルに表示されます。旧世界ではあまりなじみのないブレンドもみられ、オーストラリアのおおらかさです。
また、主に大手ワイナリーによる地域横断的に集めてブレンドするマルチリージョナルのワインもあります。発想の自由さに驚きます。
地理的呼称GI(Geographical indications) 114の産地があります。
オーストラリアのワイン産地
南オーストラリア州(South Australia):総生産量の50%を占める最大の生産地、シラーズの生産地、大手ワイナリーがほとんど
バロッサ ヴァレー(Barossa Valley) :シラーズの首都とも呼ばれる重要産地
アデレード ヒルズ(Adelaide Hills)
クレア ヴァレー(Clare Valley)
エデン ヴァレー(Eden Valley)
マクラーレン ヴェイル(McLaren Vale)
クナワラ(Coonawarra) :「テラロッサ」という表土は赤土, 下層は石灰の土壌が有名
ニューサウスウェールズ州(New South Wales):中小規模も生産者が多く、オーストラリアで最も古い産地
ハンター ヴァレー(Hunter Valley):きれいな酸を持つセミヨン種(貴腐ワイン)が特産
ヴィクトリア州(Victoria):大規模と中小規模の両方の生産者がおり、個性的なスタイルののワインを生産
ヤラ ヴァレー(Yarra Valley):モエ エ シャンドン社のスパークリングワイン「CHANDON」が有名
ゴールバーン ヴァレー(Goulburn Valley)
西オーストラリア州(Western Australia):少量ながらもよいワインを生産している地域
マーガレット リヴァー(Margaret River) : トップクラスのシャルドネが有名
スワイン ディストリクト(Swan District)
グレート サザン(Great Southern)
評価の高いオーストラリアの有名ワイン生産者
ペンフォールド(Penfolds) はオーストラリアのワインメーカーとしては最古の歴史を持ち、特に高級ワインメーカーとして知られています。
ペンフォード社のグランジ「Grange」は2001年に文化財に指定されたオーストラリアの最高峰ワイン。本国でも入手が困難とされています。
まとめ
まさに自由な発想で造るワイン産地です。ニューワールドとしてはカリフォルニア、チリと並び重要なワイン産地になっています。昔より質の高いワインの生産が増えてきている印象です。またぶどうの有機栽培やビオディナミ農法も積極的に取り入れる生産者もあり、今後も期待できる産地ですね。
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