以外と知られていない 「コート デュ ローヌ」、フランスで2番目のワイン生産量を誇るワイン産地の特徴

lavande-vigne-ぶどう畑とラベンダー畑

日本では意外と知られていないフランスで2番目に大きいワイン産地コートデュローヌ(Cotes du Rhone), ブルゴーニュやボルドーとも全く異なるスタイルのワインについてまとめてみました。フランスワイン好きなら比較という意味でも一度は飲んでみたいワインです。

コートデュローヌ、太陽と光に風に祝福されたワイン産地

フランス南東部を流れるローヌ河、スイスからレマン湖を経て地中海に流れ込む大きな河。ここは遥か昔から人の往来がありました。

コートデュローヌはフランス南東部、リヨンの南からアヴィニヨンまで、ローヌ河沿岸の南北200Km, 東西に70Kmに広がる一帯。歴史は古く、約2000年前のローマ時代にローマ人がぶどう畑を開拓したことから始まります。

生産量ではフランスでボルドーに次いで2番目に生産量の多いAOCワイン産地であり、80%が赤ワイン。

コートデュローヌのワインは北部と南部で、気候、土壌、ぶどう品種もワインのタイプも非常に異なります。

北部(Nord):温暖で大陸性気候、ぶどう畑は急な丘の斜面や狭い花崗岩質の段々畑にあり、南東、南西向きで日照に恵まれ、有名な「クリュ(Crus)」がローヌ河右岸に連なっています。
峡谷のとても狭いエリアに広がり、穏やかな気候、降水量は700~900mmと安定しています。急な斜面に段々畑のようにぶどう畑が広がっています。

南部(Sud): 暑い地中海性気候で、河原のような穏やかな大地にあり、石灰岩由来の土壌。時に激しく吹き付ける「ミストラル」は気候の重要な要素になっています。
乾燥した夏と冬、年間降水量は400~900mmとばらつきが大きいのが特徴です。広く平野が広がるところにぶどう畑があります。
ラベンダー畑の隣にぶどう畑があるところもあります。

2019年10月15日、コートデュローヌワイン委員会主催のテイスティング会。ロゼからスパークリングワインまで6本テイスティング。

コートデュローヌ、ワインの格付け3つのAOC分類レベル

 

1.コートデュローヌAOC (一般的な地方名AC、Cotes du Rhone Regionale)
コートデュローヌ地方の赤・白・ロゼの最も基本的なレベル。生産量の75%を占め、価格と品質のバランスがよい、力強く、丸みがあり、シンプルな味わい、飲んですぐに美味しいと感じる果実味が主体、若いうちに飲むのに適するワイン

2.コートデュローヌ ヴィラージュ(一般的な地方名AC、Cotes deu Rhone villages) または その後に村名(21クリュ 地理的呼称付き)AOC
コートデュローヌAOCより規定が厳しく、限定された地域で造られるワイン。ガリーグやタイムなど南部の丘陵を思わせる香りがはっきりと表れて、グルナッシュの強さとシラーのスパイシーな要素を感じさせてくれるワイン

3.AOC クリュ (17crus)
特定地区名付きワイン、さらに選りすぐりテロワールから生み出されるコートデュローヌの銘酒といわれる優れたワイン。エルミタージュの丘やジゴンダスの丘陵は世界的にも有名。それぞれのテロワールから生まれる個性が際立っているワイン。

17の有名AOC クリュ

北部の8つのAOCクリュ

コルナス (Cornas) 赤 シラー100%
コート ロティ(Cote-Rotie) 赤 シラー80%以上
コンドリュー(Condrieu) 白 ヴィオニエ100%
サン ペレイ(Saint-Peray) 白 ルーサンヌ、マルサンヌ
シャトー グリエ(Chateau-Grillet) 白 ヴィオニエ100%
クローズ エルミタージュ(Crozes-Hermitage) 赤 シラー・白 ルーサンヌ、マルサンヌ
エルミタージュ(Hermitage) 赤 シラー・白 ルーサンヌ、マルサンヌ
サン ジョゼフ(Saint-Joseph) 赤 シラー・白 ルーサンヌ、マルサンヌ

南部の9つのAOCクリュ

ポーム ド ヴニーズ(Beaumes de Venise) 赤 グルナッシュ50%以上、シラー25%以上
ラスト―(Rasteau) 赤 グルナッシュ
ヴァンソーブル(Vinsobres) 赤 グルナッシュ50%以上、シラー、ムールヴェードル
ケランヌ(Cairanne) 赤・白
シャトー ヌフ デュ パプ(Chateauneuf du Pape) 赤・白 13種のブレンド グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル 他 「法王の新しい城」というネーミング、法王の別荘地だった「教皇のワイン」
ジゴンダス(Gigondas) 赤・ロゼ グルナッシュ50%以上
ヴァケイラ50%ス(Vacqueyras) 赤・ロゼ グルナッシュ50%以上
リラック(Lirac) 赤 グルナッシュ、シラー、サンソー・白 クルーレット他・ロゼ グルナッシュ、シラー、サンソー
タヴェル(Tavel) ロゼ グルナッシュ40%以上、シラー、ピクプール、「辛口ロゼ」で有名

コートデュローヌのぶどう品種

コートデュローヌのAOC規定では28のぶどう品種が認められています。主要なぶどう種を紹介します。

4つの赤の主要品種

グルナッシュ ノワール(Grenache Noir)「たっぷりしていて、アルコールが豊か」赤・黒の果実、核のある果実、コショウ、カカオ、スペイン原産で南部の代表品種、深い色調と果実香に富んでいる、酸は低めでアルコールボリュームのある、口当たりが強いワインを造る

シラー(Syrah) 「アロマ豊か、繊細」北部の代表的品種、赤・黒の果実、スミレ、天草、黒コショウ、黒オリーブのスパイシー、長期熟成向き、小粒で皮が分厚く濃厚な色とタンニン、スパイシーな風味、凝縮感のある味わい

サンソー(Cinsault) 「軽く、繊細」ドライフルーツ、赤い果実、もも、スグリ、白い花、ロゼの生産によくつかわれる

ムールヴェードル(Mourvedre)「力強く、ストラクチュアがある」黒い果実、ガリッグ、皮革、ジビエ、スパイス、スペイン原産南部の品種、深い色調とタンニンが豊か

南部では「GSM」と呼ばれ、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルの組み合わせが主流です。

4つの白の主要品種

グルナッシュ ブラン(Grenache Blanc)「コクがあり,豊満」白い果実、白い花、ディル、フェンネル、バラ、高いアルコール度と穏やかな酸が特徴

ヴィオニエ(Viognier)「香り高く、繊細」アプリコット、スミレ、じゃ香、スパイス、はちみつ、北部で栽培される花のようなしっかりとした味わいとボリュームがある、酸は穏やか、高級白ワイン用の品種

ルーサンヌ(Roussanne)「優雅で繊細」スイカズラ、スイセン、アカシア、はちみつ、セイヨウサンザシ 南部・北部で栽培される

マルサンヌ(Marsanne)「力強く、頑健」白桃、マルメロ、ヘーゼルナッツ、アカシア、北部で栽培される

グルナッシュのぶどうの木、左右に広げて植える方式(コルドン ド ロワイヤ式)

まとめ

大きな特徴としては北部と南部でかなり異なるワインであることです。

北部は単一品種も多く、シラーやヴィオニエ種を中心として、繊細で爽やかなミネラル感のある中期から長期の熟成可能なワイン。
南部はグルナッシュを中心とした複数品種のブレンドワインで、力強くおおらかなワイン。南フランスらしく、ほんのりとハーブの香りがあります。

また多くのぶどう品種の使用が認められているため、幅広いスタイルを持ったワインがあります。

日本への輸出量は非常に少なく、たくさんは見かけませんが、非常に質と価格のバランスのよいワインです。

パリのビストロではAOCボルドーと並んでAOCコートデュローヌは2番目に多く飲まれています。グラスワインにしているところもよく見かけます。

ブルゴーニュやボルドーとは全く異なるスタイルのワインです。同じフランスワインでも、飲み比べてみると面白く、自分の好みがわかります。

コートデュローヌで一番有名なギガルのワイン

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