コートドニュイの最南端の地区でグランクリュがないAOCですが、実はグランクリュ認定を一度断ったことがありました。
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ボーヌの次に大きな主要都市ニュイサンジョルジュ
ニュイサンジョルジュの町はボーヌに次いで大きな町で、大手ネゴシアンなどがある都市です。ローマ時代の遺跡が残る古い街ですが、中世の城壁に囲まれ、歴史的な観光都市であるボーヌに比べるとどちらかというと観光よりはビジネスの町といった趣です。
ニュイサンジョルジュの町は真ん中にムーザン川(Meuzin)が流れる谷の間にある扇状地に位置し、町を挟んで両側に横長にぶどう畑が広がります。
レ サンジョルジュは1930年にグランクリュ認定を断った1級畑
1930年にどのクリマをグランクリュにすべきか協議の際に、委員の一人であるニュイのアンリ・グージェ氏が町の名前の由来となった「レ サンジョルジュ」(現在1級畑 Les Saint-Georges)のグランクリュ認定を断ったことが要因といわれています。
その理由としては、村名がニュイサンジョルジュになる前に町の生産者が2派に分裂する危機があり、ライバルのボーヌに対抗するためにも町が団結する必要がありました。1つのクリマの畑のみがグランクリュになるとその対立が激化する可能性があったのです。
もう一つ、グランクリュは地租が高くなります。1930年当時グランクリュになっても充分な対価が得られる保証もなく、税金が払えないリスクの方が大きかったのです。
他のコートドニュイの現在のグランクリュの価格を考えると、そのおかげで比較的リーズナブルに入手出来るAOCといえます。面白いことに現在再度特級へ申請を出しています。承認までは20年ほどかかるといわれています。
このように特級に匹敵する畑が多くあります。一級畑はブルゴーニュ最多の41面もあります。
ニュイサンジョルジュは南北に異なる土壌
ニュイサンジョルジュのAOCはプレモープリッセイも含めとても広く、幅広いワインが出来上がります。
北側はヴォーヌロマネと地続きの斜面にあり、斜面の形も地質構成も似ているため、ヴォーヌロマネ的な優美でフィネスのあるタイプのワインができます。ヴォーヌロマネの一級畑より高い標高の斜面に一級畑が集まっています。
北側で有名な一級畑
オー ブド(Aux Boudots) ヴォーヌロマネに隣接する畑
レ ダモード(Les Damodes) ヴォーヌロマネに隣接する、標高の高い畑
オー ミュルジェ(Aux Murgers) ニュイ的なたくましさのあるワイン
南側はヴォーヌ側とは全くことなる、ニュイサンジョルジュらしいワインができます。表土が深く、典型的な野性味溢れる骨格のがっしりした、アルコール分を含みタイプです。南側にはお隣の畑プレモープリッセイ村もニュイサンジョルジュのAOCに含まれます。
南側で有名な一級畑
レ プリュリエ(Les Pruliers) 果実味が弾けるタイプ
レ サンジョルジュ(Les Saint-Georges) 深みのある長期熟成タイプ
レ カイユ (Les Caillers) 深みのある長期熟成タイプ
また南側でプレモープリッセの1級畑のみがニュイサンジョルジュになり、その他の村名クラスはコートドニュイ ヴィラージュになります。
当社輸入販売のニュイサンジョルジュ1級
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あまり知られていない、「オスピスドニュイ」とは?
ボーヌの「オスピスドボーヌ」と同様のチャリティオークションが「オスピス ド ニュイサンジョルジュ」でも行われています。オスピスドニュイが所有しているのは貴族などによって寄贈された1級畑のみのみですが。10haほどで、有名な特級や1級畑がないため、あまり話題にならないことが多いようです。
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コートドニュイの中で意外と白ワインの生産が多い
わずかですが、コートドニュイでは珍しく、白ワインも生産しており、AOCが名乗れます。シャルドネ、ピノグリ、ピノノワールの突然変異によって生まれたピノグージュから造られるミネラルの強い個性的な白ワインを(全体の約2%)つくっています。
当社輸入販売の珍しい、ニュイサンジョルジュの白ワイン
まとめ
南北で飲み比べてみると、個人的には南側のニュイサンジョルジュらしいワインが好きです。「けものの香り」がする強いワインはジビエによく合います。
他のコートドニュイのAOCに比べて、控えめで華やかさがありませんが、個性のあるAOCです。
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