2017年に承認された新しいAOCブルゴーニュコートドール(Bourgogne cote d’Or)とはどんな特徴のワインなのか?
以前は地方名クラスのブルゴーニュピノノワール又はシャルドネだったワイン
地方名クラスはAOCオーコートドニュイなどAOCに指定されていない畑で造られたぶどうは、今まではすべて「ブルゴーニュピノノワール」か「ブルゴーニュシャルドネ」としてブレンドされていました。
コートドニュイやコートドボーヌでは村名の畑の国道を１本隔てただけで地方名クラスになることもよくあります。
一方で、地方名クラスのブルゴーニュピノノワールやブルゴーニュシャルドネはシャブリ地区、コートシャロネーズ地区、マコネ地区などブルゴーニュのどこの地区の畑のぶどうでもブレンドできます。
今回新しく承認された「ブルゴーニュコートドール」はその名の通り、コートドニュイとコートドボーヌ（＝コートドール）の畑のぶどうのみのブレンドによってつくられるワインです。
ブルゴーニュコートドールには赤のピノノワールと白のシャルドネがあります。2017年ヴィンテージから販売開始されており、赤、白ともに市場に出始めました。
有名な村名畑の隣で栽培されたぶどうを使用
ブルゴーニュワイン委員会からの地図が下記です。1枚目がコートドニュイ、2枚目がコートドボーヌ。どちらも東側に細長く続いている青緑色のところがAOCコートドールに承認された畑です。
北はディジョンの南方から、南はマランジェまで、丘のふもとに広がっています。地図のなかの黄色の村名やオレンジ、赤色の１級や特級の東側に村名の畑に沿うようにあります。現在ブドウが植樹されている畑を合計すると約２９０ヘクタールになります。（生産可能な面積は１０００ヘクタール）
ご存じのように村名クラスと地方名クラスのワインの価格はかなり差があり、村名のすぐ近くの畑のぶどうを使用した質のよいリーズナブルな価格のうれしいワインです。
また、ドメーヌによっては村名畑のぶどうでもその年の出来が悪かったなど、質を保つために格下げすることがあります。コートドールは格下げぶどうがブレンドされることもあります。
地方名クラスとしては一番質の高いAOCと言えます。
赤と白をテイスティングしてみた感想
ルペショーレ ブルゴーニュコートドール ピノノワール 2017
ニュイサンジョルジュのモノポールのぶどうを中心に使用しています。
ルペショーレ社はコートドールに多くの畑を持ち、ブレンドによって今までの「クロドルーぺ」に比べて、かなり骨格がしっかりした印象です。地方名クラスとしてはかなりお得といえます。
2017年ヴィンテージで程よく熟成して、赤や黒の果実の香りがしました。
残念ながら今までのドメーヌのモノポールワイン 「クロドルーペ」は2016年を最後に生産中止となり、残り僅か、在庫限りとなりました。好きなワインだったのでがっかりですが、新しいコートドールが期待以上だったので、安心しました。
ドメーヌデテールドヴェル ブルゴーニュコートドール シャルドネ 2018
1/3はピュリニモンラッシェの東にある斜面のふもとで深い粘土質の土壌で栽培されたもの、2/3はムルソーにとても近い区画の畑を使用しています。
コートドボーヌの白だけあって、しっかりした旨味を感じました。トロピカルフルーツの香り、スパイシーさを感じました。村名に比べると少し凝縮感に欠けますが、価格から考えるととてもお得なのが分かります。
左から４本目がドメーヌデテールドヴェル ブルゴーニュコートドール シャルドネ 2018（ブルゴーニュワイン委員会のセミナーにて）
まとめ
ブルゴーニュの中でも、コートドールは特に価格が高騰しており、他のブルゴーニュ地区とかなり差が出ています。そんな中、コートドールのぶどうのみを使用した新しい地方名クラスのAOCができたことで、比較的リーズナブルな価格で質の高いワインが楽しめます。気軽に普段飲みできる価格帯のワインはブルゴーニュファンにとっては嬉しいお知らせです。ぜひ試飲してみてください。
村名の隣の畑といってもINAOによって村名には承認されなかった畑で、戦後に村名を外された畑も多くあります。村名に比べるともちろん異なりますが、その他の地区に比べると近いメリットはあります。質の高いブルゴーニュならではのAOCですね。
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