ボーヌの街の西側に大きく広がるぶどう畑、AOCボーヌ、隣接する他の2つのAOCとの比較を紹介します。
目次
コートドボーヌで一番ぶどう畑の面積が大きいAOCボーヌ
ワインの中心地としてボーヌの街を観光や商談に訪れる人は多いですが、すぐ近くに広がるぶどう畑は意外と知られていません。歴史の中でネゴシアン(ワイン商)がその大部分を所有しているために、いわゆるAOCを極めるドメーヌワインが少ないことも理由のひとつです。
ボーヌのぶどう畑は475haとコートドボーヌのAOCとしては一番広い栽培面積です。南はポマール、北はサヴィニレボーヌに隣接し、モンターニュドボーヌ(ボーヌ山)を背に南北4キロにわたりなだらかな斜面と平野部にかけて横たわっています。ぶどう畑はボーヌの街のすぐ裏まで迫っています。95%が赤ワイン。1級畑は70%を占めますが方位も土壌もさほど大きな変化がないため、他の村と比べるとクリマごとのワインの違いがあまり大きくないのが特徴です。
ぶどう畑のほぼ中央に県道ブーズ街道があり、道を境に南北に丁度半分に分かれています。南は繊細さ、北は濃厚さがワインの特徴です。有名なクリマは北に集中しています。外見は同じような丘の斜面に見えますが、傾斜度と方位の微妙な差と、場所によって若干の土壌の違いがみられます。
南で有名なクリマは「クロデムーシュ(Le Clos des Mouches)」上の方で白ワイン、下の方で赤ワインが造られています
北で有名なクリマは「レグレーヴ(Les Greves)」濃厚でありながら繊細さと洗練さがある、砂利が多い土壌
「ブレサンド(Les Bressandes)」
「フェーブ(Les Feves)」
ボーヌの傍らの意味である「サヴィニレボーヌ」は高速道路によってボーヌと分断された
サヴィニレボーヌ(Savigny-les-Beaune)はもともと地続きだった南隣のボーヌとの境界にコンクリートの高速道路A6がそそり立っています。高速道路建設により貴重な畑が削られてしまいました。サヴィニの村は西に奥深く伸びています。真ん中にロワン川の小川が流れていて、村を南北に分けています。
北は「ボワドノエル(クリスマスの森)」という丘の斜面でペルナンベルジュレスの1級畑と地続きで、ペルナンベルジュレスに似ています
南はモンバトワの丘の斜面でボーヌの畑と地続きで、味もボーヌに近いですが、やや濃厚でリッチなものになっています
コートドボーヌではボーヌ、ポマールに次いで生産量が3番目に多く、価格の差も大きくないので、サヴィニを飲むなら1級をおすすめします。価格がリーズナブルなのも特徴の一つです。
ボーヌに比べてドメーヌのワインが多く、よい作り手も多く、あまり知られていませんがおすすめです。
当社輸入販売のサヴィニレボーヌ1級
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ショレイレボーヌは半数がコートドボーヌヴィラージュになってしまう
ショレイレボーヌ(Chorey-les Beaune)は一度ディジョンのレストランで飲んだことがあり、初めて聞く名前でしたが、とても美味しかったのを覚えています。それもそのはず、半数がコートドボーヌヴィラージュになってしまうからです。単独でショレイレボーヌとして販売されるのは本当にごくわずかです。まだ日本では見たことはありません。
理由は一級も特級もなく、ぶどう畑は平坦で畑の大半が他の村ではAOCブルゴーニュとして村名で出せない国道74号線の東側にあるからです。しかし東側も含めAOCに認定されたのは、西側から流れ出した土壌が県道を超えて東側まで蓄積されているために、西側に比べても決して軽くないテロワールであるからです。川のそばは小石が多く、丘の下は粘土が多く、アロースコルトンの近くでは複雑なワインが生まれます。フルーティで親しみやすい村名赤ワインが特徴です。ショレイレボーヌはアロースコルトン、ボーヌ、サヴィニレボーヌに隣接しています。
コルトンの丘のふもと、北の斜面のクリマでは質の高いワインもあります。
有名なクリマ
「Les Champs Longs」
「Piece du Chapitre」
当社輸入販売のコートドボーヌヴィラージュ
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まとめ
コートドールのAOCはそれぞれに歴史があり、知名度も異なり、事情もことなり、小さな知名度の低いAOCは苦労しているのがよくわかります。日本ではとかく知名度の高いもののみが注目されますが、サヴィニレボーヌやショレイレボーヌのようなAOCでも美味しいワインをリーズナブルに見つけた時は喜びも大きいですね。まだまだ学ぶことが多くておもしろいと引き込まれてしまいます。
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