ブルゴーニュの東部、スイスとの国境付近にあるジュラ(Jura)というワイン産地について。
目次
ジュラ地方はフランスでも小規模なワイン産地で希少性が高い
フランスのワイン産地の中でもかなり小規模であるため、希少性が高く、ほとんどがフランス国内で消費され、日本ではめったに見かけることがないワインです。ジュラ地方はむしろ豊かな山と高原を活かしたチーズ(コンテ、モンドールなど)作りの方が有名です。
ジュラはケルト語で「森」を意味します。またジュラ紀という地質時代はこの地方の名前から来ています。ジュラ地方の地層からアンモナイトなど化石が出土しており、太古の昔は海底でした。
ぶどう畑はジュラ山脈のふもとに広がっていて、ジュラ山脈、アルプス山脈を越えるとスイスになります。山間のワイン産地で、手つかずの自然が残り、周囲から隔離された秘境のイメージがあります。
ぶどう畑の多くは山々に囲まれた深い谷の険しい斜面で、標高200~500mのところにあります。大陸性の気候の影響を受け、冬は長く厳しく、夏は暑く、年間平均気温は11~13℃です。土壌は石灰岩質に覆われた泥灰土です。ブルゴーニュ地方に近いことから、土壌は似ています。
19世紀のベト病やフィロキセラの病害により壊滅的な打撃を受け、ぶどう畑が荒廃しました。山間で周囲から隔離されているため、長期間ワインの生産が停滞していました。近年生産者の努力により、自然派ワインを中心に注目されるようになりました。
ジュラ地方のぶどう品種
土着のぶどう品種があり、使用されています。赤ワインも造られていますが、サバニャン種から造られる白ワインが有名です。白ワインの生産は50%
サバニャン(白)
プルサール(赤)
トルソー(赤)
これらにピノノアールやシャルドネをブレンドして使用することもあります。
ヴァン ジョーヌ(黄色いワイン)とヴァン ド パイユ(麦わらのワイン)
ヴァン ジョーヌ:最低6年の長期樽熟成を要する白ワイン、成熟の遅いサバニャンをよく完熟するまで待って収穫し醸造、樽熟成、黄色みの強い辛口の白ワイン、「シャトー シャロン」は有名
ヴァン ド パイユ:ぶどうをわらの上で乾燥させて糖分を凝縮させたワイン、色の濃い極甘口デザートワイン
ジュラ地方のAOCについて
エリアごとに格付けされています。
アルボワ(Arbois) : ジュラ地方のなかで最も生産量が多く、中心地、白、赤、ロゼの他ヴァン ド パイユも造る
シャトー シャロン(Chateau-Chalon) : アルボワの南に位置し、5つの村に格付けが認められている。ほどんどがサバニャンの栽培でヴァン ジョーヌがメイン
レトワール (L’Etoile): ヴァン ジョーヌ、ヴァン ド パイユを主に生産
コート デュ ジュラ (Cotes du Jura) : 白ワインと赤、ロゼの生産が半分づつ生産
クレマン デュ ジュラ (Cremant du Jura) :シャルドネやピノノアール主体のスパークリングワイン
1970年からテロワールを重視した有機栽培開始
他のワイン生産地では化学肥料や農薬が一般的だった1970年から無農薬や減農薬、ビオやオーガニックの生産者が増えており、自然派ワインへの関心が高まるにつれて、ジュラワインが注目されるようになりました。
また日本人の夫婦が「ドメーヌ デ ミロワール」でワインを造っていることでも有名になりました。除草剤や肥料など化学製品は一切使わずに有機栽培とテロワールを大事にしたワイン造りを行っています。
まとめ
日本でジュラワインを10種類ほどテイステイングする機会がありました。初めての経験でしたが、自然の酵母で熟成しているため、独特の「酵母の香り」がしました。樽香にも似ていますが、ちょっと異なりました。個人的にはサヴァニャンの白ワインが美味しいと思いました。ブルゴーニュ地方に近いですが、ワインは全く異なるスタイルでした。
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