「オーガニックワイン」と「ビオワイン」の違いについて、安心して口にできるワインとは

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「自然」「品質の良さ」「体に良い」というイメージのある「オーガニックワイン」と「ビオワイン」よく似ていますが、何が違うの?の疑問についてまとめてみました。

オーガニックワイン、厳格な基準をクリアし認証を受けたものだけが表示可能

化学物質を使わずに有機栽培された、「オーガニックぶどう」から造られるワインのことです。オーガニックワインのEUをはじめとする各国の規定に従って醸造し、公的な認証を取得したワインのことです。

ぶどう栽培の際の化学肥料、農薬、除草剤や遺伝子組み換え、ワインの醸造過程での化学薬品や添加物などの使用禁止または一般的なワインよりも使用量を少なく制限されています。

ワインの醸造の過程でも、人気の味や安定した生産量を確保するために、工場で大量生産するようなワインには合成タンニン酸味料人工的な香りのウッドチップ、常温での輸送に耐えられる量の保存料などが使用されています。

オーガニックワインにも保存料は使われていますが、規定に従って一般的なワインの1/3以下などなるべく最低限の量に抑えています。

合成化学肥料を使う農法は効率がよくなりますが、一方で悪影響も問題視されています。殺虫剤による微生物などの畑の生態系崩壊により、土本来の栄養の枯渇、生産者や消費者の健康への影響などです。

一方、オーガニック農法では堆肥や緑肥など自然由来の肥料、殺虫剤の代わりのハーブなどを使用します。

より人や環境に優しい農法や、ぶどうだけで造る昔ながらのシンプルなワイン造りを目指しているのがオーガニックワインの特徴です。健康意識の高い人にとっては「安心して口にできる」ワインといえます。

ボトルの裏のラベルに「有機農畜産物加工酒類」または「有機農産物加工酒類」と記載されています。またワインのラベルに緑の「ユーロリーフ(Euro leaf)」などの認証マークが表示されていることもあります。

ただし、デメリットとしては生産コストが高いことです。天候や作り手の力量に味わいや産量が左右されやすいため、供給が不安定になり、生産コストが高いため、他のワインより約20%くらい高くなります。

フランスではアルザス地方がリーダーとしていち早くオーガニックワインに取り組んでおり、現在全体の生産量の15~20%を占めています。年々オーガニックワインは増えています。

 

Euro Leafの認証マーク付きワイン

 

 

ビオワイン、EUでは更に自然に近い製法にこだわったワイン

EUではビオワイン(Bio)もオーガニックの中の一つとして規定されており、認証がなければ名乗ることができません。

ところが日本では「ビオワイン」についての定義があいまいで、認証する団体がないため、独自の判断でビオワインと名乗っているワインが流通し、ややこしくなっています。EUの認証マークがついているものは安心して選ぶことができます。

EU定義のビオワインはオーガニックワインの中でも「更に自然に近い製法」にこだわったワインです。
2つの異なる農法、ビオロジック農法ビオディナミ農法があります。

EUのビオロジック農法

「有機農法」のこと。鶏糞や羊糞などの有機肥料を使用します。有機肥料を使用する場合はEUで認証されたもの以外は使用できません。病害虫予防、点滴昆虫などの生物除去は認められています。ベト病予防に効果があるとされる農薬「ボルドー液」(硫酸銅と石灰を混合した液)も使用が認められています。

EUのビオディナミ農法

ビオロジック農法をベースとした有機農法です。土壌のエネルギーと自然界に存在する要素の力を引き上げ、ぶどうの樹の生命力を高める農法です。

オーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した理論に基づいて生まれました。土壌や植物、生物はもちろん、月の運行や星座の位置、引力、気圧など天体のうごきまでも反映した独特なスピリチュアルな農法として知られています。

「播種(はしゅ)カレンダー」という星の位置などを期した種まきカレンダーを使います。自然素材由来の肥料、牛糞やタンポポなどを牛の角や腸に詰め、土中で寝かせたものを肥料として活用します。亜硫酸の量などビオロジック製法以上に厳しい基準が設けられています。

この農法を初めてワインに取り入れたのはロワール地方の二コラ・ジョリー氏で1980年代でした。当時は非常に珍しい取り組みでした。
今はシャンパーニュのルイ ロデールやブルゴーニュのロマネコンティはこのビオディナミ農法を採用しています。

 

まとめ

きれいに並んで植えられているぶどうの樹や雑草一つなく、きれいなぶどう畑をみて、ブルゴーニュのドメーヌのオーナーである友人が、自然に逆らって、農薬や化学肥料を使いすぎて、10年、20年後にはぶどう畑の土壌がダメになってしまうと説明してくれました。

化学物質を使えば、簡単に今までの天候による悪影響や病気などの問題が解決でき、たくさんぶどうを収穫できるようになり、多くの収入を得ることができます。それがどんどんエスカレートして化学物質の使用が増えているとのことです。それに気付いたドメーヌは大手も含め何らかの形でオーガニックワインへ少しずつ取り組みを始めているとのことです。数十年後にはその差が土壌に必ず表れると言っていました。

北にあるブルゴーニュ地方は南の産地に比べオーガニック農法は難しいとされていますが、温暖化もあり、将来も考え、模索しながら取り組み始めています。オーガニックの認証がないドメーヌでも少しずつその方向に動きつつあるようです。

消費者側からすると、「安いワインにはリスクがある」と思いました。信頼できる生産者のワインを購入することが大事です。

2020.1.15追記
日本国内のオーガニックワインは現状で流通量(輸入、国産合わせて)は1割に満たないですが、メルシャンなどの大手が3倍に増やすという目標を掲げ、今後が注目されています。日本でも今後どんどん増えてきそうな予感です。

ビオディナミワイン

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