フランスでもドイツ国境に近いアルザス地方のワインのご紹介。白ワイン好きな方なら一度は飲んでみたいワインです。
目次
フランスでは珍しくぶどう品種名をそのままラベルに表示
ドイツの面影を残す、アルザス地方はフランスでももっともロマンチックな場所といわれます。
アルザスのワインの歴史は古く、中世にさかのぼりますが、戦争によりワイン生産は途絶えます。過去何度もドイツ領になり、20世紀になってフランスにもどり、戦後ワイン農家が復興し、高い品質のワインの産地となりました。
フランスでは珍しくぶどう品種の名前をそのままワイン名にしてラベルに表示する唯一の産地です。また、ドイツワインと同じフルートと呼ばれる細長いボトルの瓶に詰められます。
フランスとドイツという2つの国に属した歴史があるにもかかわらず、どちらの国にも属さないアルザスらしい独特の香り高い辛口ワインを造っています。
アルザス地方の気候と土壌
アルザス地方はフランスで最も降雨量が少ない地域の一つで、日照に恵まれ、ヴォージュ山脈によって海の影響から守られており、ぶどうは酸を保ちつつゆっくりと成熟します。(夏に日中暑く、夜涼しい気候のため)アルザスの地質は花崗岩、石灰岩、粘土、頁岩(けつがん)、砂岩など13種の多彩な土壌がモザイクのように入り組んでいるおかげで、アルザスワイン独特の風味と個性、複雑さが生まれます。ぶどう畑のある村の大半は4~5種類の異なる地層の上に広がっています。
白ワインの比率が94%, アルザスのぶどう畑はヴォージュ山脈とライン川の間をほぼ南北に連なっており、アルザス ワイン街道と呼ばれます。中心都市はコルマール(Colmar)です。栽培面積は15,500haと大きくありませんが、ぶどう畑が南北に集中しています。すべてのぶどう畑は南か南東向きの斜面にあります。
また他の産地より先に有機栽培やビオディナミに取り組み、現在全体生産量の15~10%普及しており、年々増え続けています。マーケティング的な目的ではなく、環境やぶどう畑の保護のためとアルザスワイン委員会の方はおっしゃっていました。
アルザスワイン、1,000の異なるアロマを感じさせる7つのぶどう品種
アルザスワインは辛口の軽いタイプから豊満で肉付きのしっかりとしたものまで、他には類をみない豊富なバラエティーがあります。7つの品種のうちリースリングとゲヴェルツトラミネールが代表的なアルザスワインです。
リースリング種 (Riesling) :辛口で気品があり、果実味は繊細、ミネラルや花の香り、熟成型ワインです。魚介類や白身のお肉に合う
ゲヴェルツトラミネール種(Gewurztraminer):コクがあり活力にあふれ、力強く魅力的、やや甘口のワインになることもある。スパイスの効いたアジア料理に合わせて
シュヴァネール種(Sylvaner) : 爽やかで軽く、果実味は控えめのワイン、特に貝類に合う
ピノ ブラン種 (Pinot Blanc) : 柔らかく繊細で、爽やかでなめらか、卵料理に合う
ミュスカ ダルザス種(Muscat d’Alsace) : 新鮮な果実味を表現、アルザスのミュスカは辛口(南仏の甘口とは異なります)、アスパラとの相性が良い
ピノ グリ種(Pinot Gris) : 骨格がしっかりして、丸みがあり、味わいの余韻が長く続きます。フォアグラ、ジビエなどに合う
ピノノワール種 (Pinot Noir) : 赤とロゼを作る唯一の品種
2019年10月15日、アルザスワイン委員会主催のテイスティング会。クレマンから赤ワインまで6本テイスティング。
アルザスワインの3つの格付けAOC
アルザスワインには3つの格付けAOCがあります。
1. AOC Alsace (AOCアルザス): 通常ぶどうの品種名がラベルに記載され、100%その品種から造られたことを示す、品種名がない場合は複数の品種のブレンド
2. AOC Alsace Grand Cru (AOC アルザス グランクリュ):選ばれたテロワール51にのみ与えられる格付け、ラベルにはヴィンテージと村名が表示される
3. AOC Cremant d’Alsace (AO クレマン ダルザス):シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られるスパークリングワイン、主にピノ ブランを使う
クレマン ダルザスは現在フランスのクレマンのリーダーです。クレマン用にぶどうを栽培しています。クレマンダルザスの歴史は40年位と短いながら、需要は年々伸びています。
その他、
遅摘み(Vendanges tardives ヴァンダンジュ タルディブ): 収穫を遅らせ、過熟したぶどうから貴腐菌(ボトリティス シネリア菌)を広げることでアロマや糖度、酸味を強くするワイン
Selection de Grains Nobles (セレクション ド グラン ノーブル):貴腐菌が付着した果実だけを何回かに分けて収穫し、醸造するワイン、6~8年に一度しか造れないワイン。
まとめ
アルザスワインは多彩な品ぞろえが特徴です。白ワインといっても多くのぶどう品種のバラエティーがあり、それぞれに個性があります。全体的な特徴としては、複雑なアロマ、爽やかな果実味、熟した酸味の3つが特徴です。 そして何より素晴らしいコストパフォーマンスは私たちにとって嬉しいワインです。またアルザスワインは爽やかさを重視するためオーク樽を使用しません。
ぶどう品種は異なりますが、単一品種で造る点や北に位置するところはブルゴーニュワインと共通していて、親しみがわきます。
暑い夏に冷やしていただくアルザスワインは食事を最大限に盛り上げてくれます。リースリングは和食との相性がとても良いのも嬉しいです。
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