春の霜(しも)害のリスクは北のシャブリ地区では昔からありましたが、地球温暖化の影響で霜害が年々南下しています。画像のDomaine Theulot Juillot はコートシャロネーズのメルキュレ2021年4月6日です。
春のブルゴーニュにあるジブレ(Giboulee)とは
フランスでは3月に冬から春への季節が変わるときにくる春の嵐を”Les giboulées de mars”(レジブレドマルス)と呼びます。
春に暖かくなってふどうの樹から新芽が出た後に、急激に気温が零下に下がり、雨や霜が降り始め。また急に晴天という激しい天気の変化が一日のうちに何度も起きることがあります。
この遅霜が2016年にはコートドボーヌなどに大きな被害をもたらしました。2016年のブルゴーニュの収穫量は非常に少なく、小さなドメーヌには経済的に大きな打撃でした。
過去の大きな被害から、今はブルゴーニュワイン委員会(BIV)が事前に霜警報を発令し、警戒を促しています。ブルゴーニュのドメーヌではこの時期毎日天気予報を確認して、霜対策の準備をします。
ブルゴーニュでは5月中旬まで霜のリスクがあります。
当社輸入販売の希少な2016年モンラシェ
霜対策にどんなことをしているのか
燃焼法
寒くなる夜中にろうそくやストーブをともし、放射冷却現象を弱め、極端な気温低下を防ぎ、霜の発生を抑える、昔からの方法、画像はこの方法です。
朝太陽が出る前に藁の塊を燃やし煙を焚き、直射日光から芽を守る
送風法
大きな送風機を畑に設置したり、ヘリコプターを飛ばすなどして、冷気がたまらないように空気をかきまぜる
散水氷結法
霜がおりる前にスプリンクラーで水をまく。水が凍るときに潜熱が放出され、これにより芽が守られる
枝に温熱ケーブルを付ける。一部のシャブリ地区で見られます。
シャブリ地区のスプリンクラー
あえて水をかけ新芽を凍らせて〔0度の状態で〕霜害を防ぐ様子
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まとめ
つくづくワインは自然相手の農産物だと実感します。このようなドメーヌの努力があって、結果として美味しいワインが出来上がるのだと感謝でいっぱいです。
そういえば、日本でも茶畑の扇風機は霜対策ですね。日本の扇風機は使えないのか?と考えたりもします。
その後の情報で2021年は霜害がフランス全土でかなりひどいとのことです。収穫量が少なくなる可能性が高いです。ブルゴーニュでは特にシャルドネの被害が多いとの情報です。
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