ブルゴーニュのドメーヌ(ワイン農家)、家族の物語
昨年2018年11月にロードショーで公開されたフランス映画「おかえり、ブルゴーニュへ」(Ce qui me lie-私たちを結ぶ場所)はブルゴーニュのワイン農家の様子がとてもよくわかる映画です。ブルゴーニュワインファンなら、是非一度は見てほしい映画としてご紹介します。
「ドメーヌ」(domaine) と呼ばれるブルゴーニュのワイン農家の3兄妹の物語。父親が亡くなり、3兄妹がドメーヌを継ぐことになります。
ブルゴーニュは今でもこのような小さな家族経営のワイン農家が多くあります。代々引き継がれるぶどう畑とワインの醸造方法など、家族の歴史そのものや愛情が「ワイン」という形になって表現されています。それぞれのドメーヌで方法が異なり、ブルゴーニュワインは同じ地区でも一つとして同じ味のワインがないといわれています。
日本でも中小企業のオーナーのご子息はいったん外部の企業に何年か勤務し、経験を積んでから、会社に戻り会社を継ぐことがよくあります。ブルゴーニュのワイン農家も最近は、いったんアメリカやオーストラリアなどに行って、新しい近代的な農法などを学び、その経験を生かしてブルゴーニュに戻ってワイン農家を継ぐことが多くみられるようになってきました。
醸造技術がどんどん新しくなり、ブルゴーニュにいるだけではなかなか最新技術や知識を学ぶことが難しくなったからです。ブルゴーニュ地方がワインの成功によって比較的裕福であることも一つの理由です。フランスの地方でありながら、非常に国際的な方が多く、ワイン農家のオーナーもニューヨークや東京で時々講演会を行ったりしています。また、醸造方法についてコンサルからアドバイスを受けるドメーヌも多くなっています。
今世界中でワインが醸造されており、それぞれの産地が工夫しながら、新しい技術を模索しています。もちろん、ボーヌには名門ワイン学校(CFPPA: Centre de Formation Professionnelles et de Promotion Agricole、ボーヌ農業促進・職業訓練センター)があり、外国からも多くの生徒を受け入れています。
この映画に登場する3兄妹は、長男が父親に反発する形でオーストラリアに行きますが、オーストラリアに行ったまま、現地でワイナリーを経営し家族とともに暮らしていました。父親が危篤となり、10年振りに故郷のブルゴーニュに帰ってきます。ぶどうの収穫期を迎え、幼少期から3兄妹でワインの醸造に係わり、父親から教えられた知識を思い出し、ブルゴーニュに1年踏みとどまります。
収穫の様子や、収穫の後の大宴会も描かれています。
合わせて読みたい記事
女性醸造家の流れ
今ブルゴーニュで注目されているのが、女性醸造家です。ひと昔は男性だけの職業でしたが、今は後継者問題もあり、多くの女性醸造家が誕生しています。オスピス・ド・ボーヌも初めて女性醸造家が務めています。(リュドヴィン・グリヴォー氏)
この映画の中でも兄はオーストラリアのドメーヌ経営、弟はブルゴーニュの別のドメーヌに婿養子に行っており、最終的には妹がドメーヌを継いで醸造にチャレンジしている姿を描いています。
妹のセリフで「女にはワインを造れない」というシーンがあります。
合わせて読みたい記事
四季を通じて移り変わるぶどう畑の美しさ
ワイン造りの1年が四季を通じて描かれ、3兄妹のドラマが語られます。
春 まだまだ冷たい寒気が襲うこともある4月に新芽がでます。この時期「芽掻(めかき)」 を行い、その年の房を付ける芽の数を加減します。
夏 ぶどう畑は青々として、光に向かって葉を広げます。どんどん丈が伸び開花します。夏期剪定をするドメーヌもあります。
秋 開花から約100日で収穫となります。比較的お天気に恵まれることが多い時期です。収穫後すぐに醸造に入り、1年で一番忙しい時期です。10月になると緑の葉が黄色、黄緑、赤、赤茶と色とりどりのモザイク模様のようになります。コート・ド―ル(黄金の丘)はこの時期のことを意味します。
冬 寒くて長いブルゴーニュの冬。憂鬱になるこの時期に2つの大きなワインのお祭りが開催されます。10月の「栄光の3日間」1月の「サン・ヴァンサン祭り」です。
合わせて読みたい記事
秋のぶどう畑
合わせて読みたい記事
コメントを残す