ワイン好きなら気になるヴィンテージについて。いただきものの高価なワイン、ご自身で以前購入しワインセラーにあるワイン、これから購入しようと考えているワイン、銘柄や格付けAOC以外で味わいを決める大事な要素としてぶどうを収穫して醸造したヴィンテージ(ミレジム)があります。その年がどんな年だったかの評価を一覧表にしたパーカーポイントのチャートを紹介します。
目次
PPと呼ばれるワインの評価法 パーカーポイント
世界でもっとも影響力のあると言われるアメリカのワイン評論家 ロバート パーカー(Robert Parker)氏創刊の 「ザ ワイン アドヴォケイト誌 (The Wine Advocate)」のヴィンテージガイドから、話題のパーカーポイント(PP)を紹介します。今では世界中のワインの評価の指標ともなっている、100点満点で表すワインの評価法です。
評価に値するワインであれば、基礎になる50点。その他の加点は下記の4つの項目(満点なら100点)
外観:色と外見に1~5点
香り:アロマ(ぶどうの香り)とブーケ(熟成した香り)の強さと複雑さ、清潔さ 1~15点
味わい:強さとバランス、清潔さ、後味の深さと長さ 1~20点
総合: 全体の質のレベルと熟成度合いや将来の熟成の可能性に 1~10点
4つの項目の合計の点数で評価
96点~100点 | 格別、素晴らしい |
90点~95点 | 傑出した、ずば抜けてよい |
80点~89点 | 平均より上、優良 |
70点~79点 | 並、平均的 |
60点~69点 | 平均以下 |
追加の評価、点数の右にアルファベットを付けて
C : 注意、熟成しすぎの可能性
E : 早期熟成、飲んでもOK
I : いいワインでも不規則
R : 飲み頃
T : タンニンが強く、まだ若い、または熟成が遅い
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ぶどうの収穫年によるできばえの違い ヴィンテージチャート
ロバート パーカー氏による「ザ ワイン アドヴォケイト誌 (The Wine Advocate)」で発表された1990年~2018年までのブルゴーニュワインのヴィンテージチャートです。
2020.5.23 2018年ヴィンテージ追加しました。2018年については思ったより評価が低いと感じました。現地生産者からの話では2015年相当ときいていましたので。まだ若いので、今後評価が変わる可能性はあります。
ブルゴーニュワインのヴィンテージチャート
収穫年 | コートドニュイ 赤 | コートドボーヌ 赤 | 白 |
2018 | 93T | 94T | 92E |
2017 | 93E | 92E | 96E |
2016 | 97T | 92E | 87I |
2015 | 98T | 96T | 94E |
2014 | 92E | 91E | 97E |
2013 | 92E | 89E | 90E |
2012 | 93E | 91E | 92E |
2011 | 91E | 90E | 91E |
2010 | 96E | 94E | 94E |
2009 | 95E | 95E | 91E |
2008 | 88I | 89I | 94E |
2007 | 84E | 80E | 91I |
2006 | 89I | 82I | 90E |
2005 | 98T | 96T | 88E |
2004 | 83C | 79C | 91R |
2003 | 89R | 87T | 84R |
2002 | 94R | 92R | 92R |
2001 | 86I | 79I | 86C |
2000 | 84R | 80C | 88C |
1999 | 92R | 93R | 89C |
1998 | 84I | 82C | 84C |
1997 | 89R | 88R | 89C |
1996 | 89T | 89R | 92C |
1995 | 90R | 85R | 93C |
1994 | 72C | 73C | 77C |
1993 | 85C | 80C | 72C |
1992 | 69C | 82R | 90C |
1991 | 86R | 77C | 70C |
1990 | 93R | 92R | 87C |
(NT:not yet)
当たり年と言われる2005年は高い評価がついています。(ただしT:タンニンが強く、まだ若い、または熟成が遅い とあるので、飲み頃にはちょっとまだ早いようです)2005年以降は比較的良い評価がついているのは、地球温暖化の影響で、ぶどうの収穫時期も年々早まっている状況です。特に白ワインは近年非常に安定して高評価です。
1994年は天候不良でした。
たまたま1994年のChambolle-Musigny, Geverey Chambertin 1er Cruをテイスティングする機会がありました。どちらも素晴らしいワインでした。当時は固く閉じていたワインも24年の年月を経て、程よく熟成していました。Geverey Chambertin 1er Cruの方はまだ3-5年は熟成しそうでした。1994の村名クラスは今飲み頃です。
2017年白が高い評価を得ています。そろそろ市場にではじめるので、モンラシェ、ムルソー見つけたら買いです。産量が少ないので、すぐに市場からなくなってしまいます。
やはり2015年は評価が高いです。当たり年といえるでしょう。今ならまだ市場にでていますから、購入して自宅のワインセラーに保管するとよいヴィンテージです。
バースデーワインなど生まれ年のワインが気になるところですが、ワインのできばえが良い年ならラッキーです。
当社は2001年ヴィンテージからお取り扱いがあります
当社が輸入販売するワインで、一番パーカーポイントが高評価のワイン2015年ジュヴレシャンベルタン
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2018年ヴィンテージについて。2015年同様に近年では質、量、赤、白ともにブルゴーニュの当たり年との評価が出始めました。これから市場に出ますが、楽しみです。
ブルゴーニュワイン委員会からのコメントVIDEO(フランス語英語字幕、ブルゴーニュのぶどう畑のドローン映像がきれいです)
2000年以降は早飲みタイプの醸造方法が主流に
最近のトレンドで早飲みタイプの醸造方法が主流になってきていることもあり、比較的若いビンテージでも高い評価 E(早熟、飲んでもOK) がついています。
このチャートはブルゴーニュワインの全体の評価のため、個別の銘柄は各自評価がありますが、高価な古酒を入手するときは参考になります。
フランス人で80歳になる私のワインの師匠から聞いたところ、昔は10年ほど熟成させてから飲むのが当たり前だったそうです。うっかり忘れて、熟成させすぎることも多くあったそうです。今のワインは3年や5年でこんなにおいしく飲めるのは確実に醸造方法が変わったからとおっしゃっていました。ボーヌでご一緒した時に1988年、30年熟成したワインをレストランでいただきましたが、残念ながら時間がたちすぎていました。早飲みタイプの醸造方法は2000年以降多く取り入れ始めたとのことです。その前後のヴィンテージで熟成が大きく異なるため注意が必要です。
作り手は天候によって醸造方法を変えている
最近の醸造方法は、ベストなワインができるように、その年の天候によって醸造方法を変えるのが一般的になっています。昔は醸造方法は作り手ごとに1つしかなかったそうですが、今は天候に合わせて醸造方法を変えることで、どのヴィンテージでも一定のレベルを保つようになりました。気象条件によって生産量の違いは出ますが、質は保てるようになっています。パーカーポイントもブルゴーニュの赤は2009年以降高い評価が継続しています。現代的テクノロジーのおかげで悪いヴィンテージというものはなくなったと言えます。
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まとめ
パーカーポイントは一時期ほど影響力がなくなりつつあります。醸造家がパーカーポイントが高くなるように、パーカー氏の好みのワインを造りだしたからです。「パーカリゼーション」とも呼ばれています。パーカーポイントの影響力が強すぎて、ポイントが高ければそのワインがすぐに高く売れる状況が続きました。パーカー氏がご高齢で現役を引退したこともあり、以前よりは騒がれなくなりました。ワインを客観的に評価するのは難しいですね。あくまでも目安であり、参考程度に考えるとよいでしょう。
パーカー氏は高齢を理由に2019年に完全引退し、ザ・ワイン・アドヴォケイト誌の株も売却しました。ワイン業界を意のままにしたパーカー氏の引退により、ワインは新しい時代を迎えています。
パーカー氏へのインタビューをもとにした本、パーカーについてもっと知りたい方へおすすめ
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