ディジョンのマスタード(moutarde de Dijon ムタールド ド ディジョン)について
マスタードはディジョンの名産品
6月にフランスでパリから高速道路をブルゴーニュに向けて走った時に、一面に黄色の畑が見えました。これがマスタードの原料となる「セイヨウアブラナ」の畑でした。見事に輝いた黄色の畑が続く景色が印象に残ります。
マスタードはディジョンなどブルゴーニュ地方の大切な名産物の一つで、お土産としても人気があります。ディジョン近郊にマスタード工場があり、下記の4社が有名です。
マイユ(Maille) 2000年ユニリーバ社に買収されました
ファロ(Fallot) 今でも伝統的な製法で生産されています
レーヌ ド ディジョン(Reine de Dijon)
テメレール(Temeraire)
マスタードはフランス料理には欠かせない調味料の一つです。ブルゴーニュ地方ではお酢(ワインヴィネガー)も生産されており、マスタードを作る上で最も重要な材料の一つとなります。
マスタードは香辛料の一つでクロガラシ(ブラックマスタード)の種子(マスタードシード)をすりつぶしてワインヴィネガーを加えペースト状にしたものです。
ディジョンのマスタードと言われていますが、フランス中どこで造られても、決められたレシピに沿って作られ、その基準を満たせばディジョンのマスタードと名乗ることができ、フランス中で愛されています。
ただし別途2008年にブルゴーニュのマスタード(Moutarde de Bourgogne)が IGP (地理的表示保護:Indication géographique protégée)に認定されています。
マスタードはブルゴーニュ北部(Bas Bourgogne)地方の救世主
ブルゴーニュのワインの歴史の中で「フィロキセラ」(ぶどうのペストともいわれています)は大きな影響を与えた出来事として今でも語られています。
バー ブルゴーニュ(ブルゴーニュ北部)は実はかつては広大なワイン産地で、セーヌ河やヨンヌ河などの水利を活かして、地理的にも近いパリ市民向けにワインを生産していました。しかし、フィロキセラの被害後の鉄道の開通により南仏のリーズナブルなワインがパリに大量流入し、結局このフィロキセラ被害から二度と立ち直ることができませんでした。
シャブリがコートドールから離れてポツンと孤立しているのは、バー ブルゴーニュ地方の中でも、シャブリだけは付加価値の付く上質なワインの産地だったからです。フィロキセラから再興のための多大な投資が可能でした。シャブリは今もブルゴーニュワインの中で、非常に重要な産地として位置づけられています。
フィロキセラ後の疲弊したブルゴーニュ北部のぶどう畑を救ったのは「マスタード」と「カシス」です。この2つの食品がディジョン名物として、この地方の産業の救世主となりました。ブルゴーニュ北部ではオーセールからディジョンにかけて、マスタードの原料である黄色の菜の花畑が続き、とても輝いて見えました。
一方のカシスは白ワインのアリゴテでワインカクテルの「キール」が有名となり白ワインの消費に貢献しました。カシスはデザートやお肉のソースなど、やはりフランス料理には欠かせない材料です。
フランス料理では様々な形でマスタードが使われている
日本ではソーセージに添えるのが一般的ですが、フランス料理では様々なところで使われています。
ドレッシングに入れて使います
鶏肉などお肉につけて食べます
揚げ物の材料の下味に
お肉の見込みに入れます
サンドイッチのフランスパンに塗ります
決まりはなく、合わせてみたら美味しかったということが多く、色々と楽しめます。ピリッとした辛みと適度な酸味があるので、塩分を少なくすることができます。
まとめ
フランス料理には欠かせないディジョンのマスタードは、フランス中どこにいっても見かけます。レストランでもよくテーブルに置かれています。
このマスタードがブルゴーニュ地方と密接に関わる名産品だったのです。歴史の中のストーリーを知ると面白くなります。
マスタード、白身魚にも合うで旨かったな~日仏友好やろな~
マスタード何にでも合いますよね。マスタードを使うとなんでもフランス風になり、ワインにも合うので便利でよく使います。